フルトヴェングラーは時代を超える
昨年ベートーヴェンの第九に挑戦しました。
オペラを歌っている友人に刺激されたからです。
歌詞は原語ドイツ語で、暗譜しなければならない。
何せ楽譜も読めない初心者なので習得に苦労しました。
しかし、先生が、ワンフレーズずつ、時には自ら歌って手本を示し、
丁寧に教えてくれたので、素人の私にも勉強になりました。
丹田【下っ腹】に力を入れ、
「頭のてっぺんから上に向かって声を出す」
発声法は私にとって新しい発見でした。
しかし、考えてみれば、
クラシック音楽の起源は教会音楽。
聖歌隊の讃美歌がドームの天井に反射して、
天使の歌声のように降ってくる発声は当然のことです。
ですから、その発声法は教会音楽とは不可分で、
キリスト教と接点のない私達も歌えば、
目に見えない形でキリスト教の影響を受けている、
と感じました。
知人は、各地で第九を歌っていますが、
指揮者によって指導のポイントが違い、音楽の作り方は三者三様だと言っていました。
今年はブラームスの「ドイツレクイエム」の合唱に参加する予定です。
私は、毎朝1時間かけて野菜や果物を洗ったり切ったりスムージーを作っていますが、その間「ドイツレクイエム」を聴いています。
カラヤン指揮から始まり、フルトヴェングラー、コリン・デイヴィス、クラウディオ・アバドを聴いてフルトヴェングラーに戻りました。
クラウディオ・アバドの明るく陽気な「ドイツレクイエム」を聴いて、
彼の属性を調べたら、彼はイタリア・ミラノ出身でした。
気質は音楽を形づける。
加えて、カラヤンは1989年、フルトヴェングラーは1954年、コリン・デイヴィスは2013年、クラウディオ・アバドは2014年に亡くなっています。
時代が求める時間の長さやスピード感は年代によって違う。
例えば
「ドイツレクイエム」の演奏時間は、アバド73分37秒、ディビス73分23秒、カラヤン76分9秒、極めつけはフルトヴェングラー81分21秒で、2014年の時代と1954年時代とではかなりの差があることに気がつきました。
時代が求めるスピードに遅れれば陳腐になるものなのに、
フルトヴェングラーはいまだ魅了される。
天才は時代を超えるのでしょうか。